映画『紙の月』ネタバレあらすじ ごく普通の主婦が横領!

本作は「銀行員が好きな異性のために金を横領する」という、現実世界でも実際に起きた横領事件をベースにした角田光代さんの原作を元にした映画です。

この映画は、宮沢りえさん演じる主人公の梅澤梨花が池松壮亮さん演じる大学生に恋をして、金に困っている彼を助けるために銀行の金を横領し使い込む、という流れになっています。

そしてその行為は次第にエスカレートしていき、やがて横領した金の額は莫大なものになっていきます。

キャスト&スタッフ

監督:吉田大八
脚本:早船歌江子
原作:角田光代
制作:池田史嗣 / 石田聡子 / 明石直弓
出演:宮沢りえ / 池松壮亮 / 大島優子 / 小林聡美 他
公開:2014年11月15日

あらすじ

バブル崩壊直後の1994年、夫と2人で暮らす主婦・梅澤梨花は、銀行の契約社員として外回りの仕事に従事し、その丁寧な仕事ぶりで周囲にも評価されていた。

一見すると何不自由ない生活を送っているように見えた梨花だが、自分への関心が薄い夫との関係にむなしさを感じていた。

そんなある日、年下の大学生・光太と出会った梨花は、光太と過ごすうちに顧客の預金に手をつけてしまう。

最初は1万円を借りただけのつもりだったが、次第にその行為はエスカレートしていき……。

映画.comより

※ここからネタバレ注意!

映画『紙の月』のネタバレ

この映画の漠然としたストーリーを見て僕は好きな男のために銀行の金を横領して破滅していくといういかにも暗めなストーリーだなと思っていました。

しかし、ラストを見てその考えは変わりました。

この映画は、主人公の梅澤梨花の倫理観が独特で一見すると常識人のような振る舞いをしていますが、梨花が中学生の頃「愛の子供プログラム」というボランティア活動に出会い、“人を助ける喜び”に目覚めました。

しかも「受けるより、与える方が幸いであれ」というシスターの教えは、彼女には「他人のお金を盗んででも、人を幸せにすればそれは正当な行為である」という風に解釈して父親の財布から五万円を盗んで寄付しました。

当然シスターからは叱られますが、梨花は「なぜそれがダメなんですか?」と反発します。
そして梨花が大人になってからも彼女は同様の行為を繰り返すのです。

つまり、この映画の主人公は「犯罪を犯している」という自覚はありますが、「他人を助けるため」ということで犯罪行為を正当化してこれまで生きてきました。

その“歪んだ倫理観”が映画全体に奇妙な疾走感を生み出していて、この物語における暗くなりそうなテーマのストーリーをここまで緊張感のあるものにしているのだと思います。

この映画に欠かせない二人のキャラクターの大島優子さん演じる相川恵子と、小林聡美さん演じる隅より子という全くタイプの違う二人の女性が登場します。

相川恵子は小悪魔的な性格で梨花の道徳観を揺さぶり、一方の隅より子はそんな相川恵子と梅澤梨花を監視している先輩社員です。

大島優子さんも小林聡子さんも見事にこのキャラにハマっています。

クライマックスシーンの隅より子と梅澤梨花の迫真のやりとりがとにかく素晴らしかった!

「見上げた月を指でこすったら消えてしまった。ああ、ニセモノなんだと。ニセモノだから、壊したっていい。怖くない」

この映画のタイトルの『紙の月』というのは紙の月というのはいわゆるニセモノの月で、ニセモノはどこまでいってもニセモノだから壊しても構わないと彼女はそう考えています。

梨花は老人・平林の家で平林の孫の大学生・光太と出会います。

それから二人は頻繁に出会うようになり不倫関係に発展していきます。

そして、光太に借金があることを知った梨花は、平林の新規定期預金の200万円を横領して光太に渡してしまいます。

そこから梨花の歯車は狂い始め、歯止めが利かなくなってしまいます。

梨花は中学時代に「愛の子供プログラム」という募金活動が行われていました。ある日、梨花のもとに寄付した相手からお礼の手紙が来ました。

その相手は左頬に火傷の痕がある少年でした。
夫の上海転勤が正式に決まり、一人日本に残った梨花は光太と贅沢な暮らしを続けていました。

横領する金額も次第に膨らんでいき、気がつけば音戻りできないほどの金額になっていました。

梨花は自宅にパソコンとプリンタを購入して、若葉銀行の証書を持ち帰り、証書を偽造する日々が続きました。

その苦労を知りもしないで光太は部屋に別の女性を連れ込んでいました。

ひどい男です・・・。

結局彼は梨花のことを金づるとしか思っていなかったんですよ!

光太は必死に弁解しようとしますが梨花は聞き入れず、梨花と光太は次第に別れることになります。

ついに銀行で横領の事実が発覚してしまいます。この時、横領した金額は1億円にまで達していました。

追い詰められた梨花は椅子で窓ガラスを割ってその場から逃げてしまいます。

全速力で逃げていく梨花だった。

その後、東南アジアの国に逃亡した梨花は、かつて「愛の子供プログラム」で自分が救った少年に出会います。

死んだと思っていた少年は立派な大人になっていました。
彼からリンゴをもらった梨花は街中へと消えていきます……。

ラストシーンの意味は?

賛否両論のあったラストシーンは僕もすごく印象的に残っています。

ここでの解釈は僕の個人的な見解ですが、僕はこのラストシーンは最後に出てきた火傷の痕のある少年はかつて梨花が「愛の子供プログラム」で救った少年です。

この少年は梨花がリンゴをかじった姿を見てリンゴをあげます。

この行為はこれまでの梨花の人生にはなかった“善意”の形でありこの少年は梨花の姿を見てリンゴを上げようとしていました。

梨花のことを知らずにリンゴをあげたので無償の“善意”であることがわかります。

一方の梨花は、人を助けるためにはどんな手を使ってもいいというある種の使命感があり金を横領したのもその油断だ使命感のなせる業なのです。

この二人の“善意”の対比がこのラストシーンには描かれているのだと思います。

まとめ

この映画では宮沢りえさんの演技がやはり一番光っていました。

クライマックスシーンの窓ガラスを割って走り去るシーンは監督が一番初めに思い浮かんだシーンだと聞いています。

それほどこのシーンは非常に印象的だったということです。

梨花と光太の恋愛関係にスポットが当たらないのは「善意」というテーマを表現するために二人の馴れ初めを削ったと考えれば合点がいきます。

大島優子さん演じる相川恵子は悪びれない言葉で梨花の欲望を引き出し、小林聡美さん演じる隅より子はそれを断罪します。

すべては宮沢りえさん演じる梅澤梨花を中心に物語が進んでいきます。

宮沢りえさんのこの映画の演技が評価されて東京国際映画祭コンペティション部門最優秀女優賞と日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞しました。

宮沢りえさんは間違いなく世界中から注目を集める女優になりました。

それでは、また‼︎